2023年10月に新規の美白有効成分として「グリチルレチン酸ステアリルSW」が承認されました。
2018年承認のデクスパンテノールW以来、約5年ぶりとなります。
あらたに承認されたグリチルレチン酸ステアリルステアリルSWとはいったいどんな成分なのか?
日本化粧品検定1級の管理人が専門家目線で解説いたします。
★グリチルレチン酸ステアリルSWって?
★従来のグリチルレチン酸ステアリルと何が違うの?
★どんな効果が期待できる?
★配合されている化粧品を教えて!
記事を書いた人:ミラオ 日本化粧品検定1級。美肌成分研究家。46歳。「10歳若く見られる」をテーマに情報発信中。美白化粧品を中心としたスキンケア商品の解説メディア運営しています。 |
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グリチルレチン酸ステアリルSWとは?
グリチルレチン酸ステアリルSWは、大手化粧品メーカーの「KOSE」と成分原料メーカーである「丸善製薬」が共同で10年以上研究し、開発した成分です。
漢方薬の原料としても有名な甘草(カンゾウ)の根から抽出した成分を元に作られています。
★甘草から作られる主な成分
- グリチルリチン酸ジカリウム
- グリチルレチン酸ステアリル
いずれも炎症を抑え肌荒れをふせぐ効果に優れ、様々な化粧品に配合されている人気の成分です。
グリチルリチン酸ジカリウムの特徴
甘草から抽出されたあとにイオン化された水溶性成分
水溶性なので化粧水など様々な商品に配合しやすく、数多くの化粧品に活用されている。
ただし効果の面ではグリチルレチン酸ステアリルよりも低い。
グリチルレチン酸ステアリルの特徴
甘草から抽出されたあとステアリル基をつけて安定化したもの。
油溶性で乳液やクリームなど油分を含む化粧品に配合される。
水に溶けないため配合製品が限られるのが弱点。
グリチルリチン酸ジカリウムよりも高い抗炎症効果をもつ。
従来のグリチルレチン酸ステアリルと何がちがう?
従来のグリチルレチン酸ステアリルと、グリチルレチン酸ステアリルSWの一番の違いは、有効成分として認められている効果が異なる点です。
【抗炎症効果】で有効成分として厚労省から承認を受けている
【抗炎症効果】と【美白効果】で有効成分として厚労省から承認を受けている
じゃあグリチルレチン酸ステアリルSWは従来のグリチルレチン酸ステアリルをパワーアップさせた成分ってことね!
そのとおり!
と、言いたいところですが、実はそうとも言い切れないんです
実はまったく同じ成分
グリチルレチン酸ステアリルSWと従来のグリチルレチン酸ステアリルは、構造上「同じ成分」です。
なので実際肌におよぼす効果も同じ。
どちらも抗炎症と美白の効果は期待できるということになります。
でも、従来のグリチルレチン酸ステアリルには美白効果は認められてないんじゃ…
従来のグリチルレチン酸ステアリルは抗炎症効果のみでしか申請を出していないので、美白効果が認められていないんですよ
そうなんだぁ じゃあ新規で承認されたグリチルレチン酸ステアリルSWを選ぶ意味ってなくない?
いえいえ、そんなことはありません。
美白効果を重視するなら新規のグリチルレチン酸ステアリルSWのほうがおすすめですよ。
なぜならSWのほうが配合量が多いと予測されるからです。
違いは配合濃度
有効成分として承認されるには、適した配合濃度を定める必要があります。
グリチルレチン酸ステアリルSWは美白効果を出すために、従来のグリチルレチン酸ステアリルよりも高い濃度で配合されている可能性が高いと予想されます。
そのため美白効果を求めるなら「グリチルレチン酸ステアリルSW」を選ぶのが良いでしょう。
従来のグリチルレチン酸ステアリルと新たに承認されたSWのちがい まとめ
- 成分としては同じもの
- SWは抗炎症と美白の2つで認可を受けている
- 違いは配合濃度
- 美白効果重視ならSWがおすすめ
美白効果を重視するなら新規のグリチルレチン酸ステアリルSWがおすすめ。
ただし配合されているアイテムが限定されるので、とりあえずは従来のグリチルレチン酸ステアリル配合商品でも良いかなと思います。
グリチルレチン酸ステアリルSWにはどんな効果があるの?
前述のとおりSWと従来のグリチルレチン酸ステアリルは同じ成分なので、効果も従来のものと同じです。
ただしSWのほうが高い濃度で配合されている可能性が高いので、より高い効果を得たいならSWを選ぶのがよいでしょう。
グリチルレチン酸ステアリルSWの効果
- シミやそばかすをふせぐ【美白効果】
- 肌荒れやニキビをふせぐ【抗炎症効果】
シミやそばかすをふせぐ【美白効果】
シミができるメカニズムは大きく分けて4つのステップがあります。
★シミができるまでの4つのステップ
- 紫外線などの刺激を受けることで「メラニンを作れ!」と司令が出る
- メラニンの元となるチロシンをチロシナーゼという酵素が育てる
- メラニンが育ち黒くなっていく
- メラニンが肌表面に定着する
グリチルレチン酸ステアリルSWは一番最初の「メラニンを作れ!」という司令を出させないことで、シミができるのをふせぎます。
肌は刺激を受けるとメラニン色素生成誘導因子である「プロスタグランジン」がシミを作るよう司令を出します。
グリチルレチン酸ステアリルSWはこのプロスタグランジンを抑制するのでシミが作られないというメカニズム。
できてしまったシミを薄くすることはできませんが、予防するという点ではとても有効な成分と言えます。
※シミができるメカニズムや美白化粧品について詳しく知りたい方はこちら↓
肌荒れやニキビをふせぐ抗炎症効果
前述のとおり肌は刺激をうけると「プロスタグランジン」が産生されますが、このプロスタグランジンは肌の炎症も引き起こします。
グリチルレチン酸ステアリルはプロスタグランジンを抑制する効果があるので、肌の炎症も防ぐことが可能となります。
肌荒れやニキビができやすいタイプで、シミも予防しておきたいという方にピッタリの成分です
肌への刺激や安全性
グリチルレチン酸ステアリルSWは美白と肌荒れ防止効果のある優秀な成分ですが、安全面ではどうなのでしょうか?
結論から言うと「安全性はとても高い」と言えます。
抗アレルギー作用で刺激を緩和してくれる
グリチルレチン酸ステアリルSWにはアレルギー反応を抑制する作用があります。
化粧品などを肌に塗布した際、刺激を感じるのはアレルギー反応によるケースが大半ですが、グリチルレチン酸ステアリルSWはその刺激を緩和してくれる優れもの。
もちろんグリチルレチン酸ステアリルSW自体も非常に低刺激な成分なので、敏感肌で刺激が気になる方にもおすすめの成分です。
グリチルレチン酸ステアリルは塗りすぎNG?
甘草を原料としたグリチルリチン酸ジカリウムやグリチルレチン酸ステアリルには、肌荒れを抑える抗炎症効果があります。
この抗炎症効果は微弱な疑似ステロイド効果によるものと言われているので、長期連用すると肌が本来持っている修復機能を損なうのでは?という疑問を浮かべる方もいるでしょう。
結論から言うと「よほど大量に塗らない限り問題はない」となります。
医薬部外品は効果以上に安全面を重視して配合量の上限値を決定しています。
そのため
- 一日に何度も多量に塗布する
- さらにそれを何日も続ける
このような無茶な使い方をしない限り、肌への悪影響がでる可能性は極めて低いでしょう。
それでも気になるという方は、
抗炎症成分配合のアイテムは1つまで
というルールを決めて使用するのが良いかと思います。
グリチルレチン酸ステアリルSWはとても安全性の高い成分です。
ただそれでも過剰に塗りすぎれば副作用のリスクは高まってしまうので、一日に何度も繰り返し使うのは避けましょう。
グリチルレチン酸ステアリルSWを配合した化粧品
おまたせしました。
ではグリチルレチン酸ステアリルSWを配合した化粧品を紹介したいと思います。
と、言ってもこの記事作成時でグリチルレチン酸ステアリルSWを配合している商品は1つだけ。
薬用 雪肌精 ブライトニングエッセンスローション
価格(税込)・容量 | 3,850円(200ml) 5,940円(350ml) |
有効成分 | グリチルレチン酸ステアリルSW(美白・抗炎症) |
グリチルレチン酸ステアリルSWを開発したKOSEが販売している美白化粧水です。
現状唯一のグリチルレチン酸ステアリルSW配合アイテム。
水に溶けないグリチルレチン酸ステアリルSWをカプセルに入れて、圧をかけ小さくすることで配合することに成功した化粧水です。
その他の特徴として、和漢エキスを配合しているのもポイント。
- メロスリアエキス
(メラニンの産生を抑制) - タイソウエキス
(表皮のターンオーバーを促す) - ヨモギエキス
(天然保湿因子NMFの産生を促しバリア機能を高める)
有効成分と和漢エキスの相乗効果で、高い美白効果を引き出す処方となっております。
グリチルレチン酸ステアリルSW解説 まとめ
- グリチルレチン酸ステアリルSWはKOSEと丸善製薬が共同開発した新規の美白有効成分
- 従来のグリチルレチン酸ステアリルとの違いは配合量
- メラニン生成司令を抑えることでシミができるのをふせぐ
- 抗アレルギー効果で肌への刺激を抑える安全性の高い成分
- 配合アイテムは【薬用 雪肌精 ブライトニングエッセンスローション】
グリチルレチン酸ステアリルSWは美白効果と肌荒れ、ニキビ予防効果のある優秀な成分でしたね。
現状は配合アイテムが1つしかありませんが、今後増えていくことを期待しております。
従来のグリチルレチン酸ステアリルでも近い効果は期待できるので、雪肌精ブライトニングエッセンスローションが合わない方は他の商品で代替しても良いと思います。
これからもっと新規の美白有効成分が生まれることを願って終わりたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
★美白有効成分の一覧と解説はこちら↓
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2024年8月2日更新